太陽が眩しかったから

どこにでもある田舎。田んぼだらけの風景。一本道。じんわりと火照らせる太陽。心もとない木陰。カラカラ回るペットボトルの風車。何もない。緑、緑、緑。

つい消ししただか前垢で呟いたかは定かでないのだけれど田んぼに水を張っている状態がとても好きなんです。それも苗を植える前のなーんにもない状態の。

近くで見ると茶色い土ばかり目に映るのに、遠くから見ると広大に張られた水が空の色を彩る。溶け込めそうな気さえした。もちろん気がするだけであり田んぼは田んぼ。水深は浅く足を取られるかもしれないにしてもどこまでも沈むこともない。それでも空を反映した水張り田んぼは底を把握出来ないくらい深いと錯覚してしまう。

ウユニ塩湖にはとても及ばない、それどころか比べるに値しない風景でも、私にとって身近なそれは十分にきれいなのだ。

 

よくよく見ると水はすごく透明で、まぁ、土はともかく水はそこらへんの池や川より本当に透き通っていてこれがまたきれいなのだ。全部が全部きれいなわけではなく、灰汁に似た苔だかよくわからない緑色が浮かんでいる田んぼもよく見かけたりもするものの。

 

そんな水田にもデメリットがある。前述に絶賛していた水面による反射だ。

何かと空が〜と書いたがなにも空だけを鏡写しするわけじゃない。気に食わないものも鏡写しさせる。

なにか。太陽だ。

とてつもなく強烈な光が攻撃してくる。特に目、顔を重点的に。ギラギラした太陽なら尚更攻撃力が増す。こればかりは降参である。

 

でも、嫌いになんかなれない。地元の人間はあまり好きではないけれど、長年慣れ親しんだ風景だけは好きだから。