真夜中、車を走らせていた。運転手は知らない男子高校生だった。

沈黙しながら実家の方で散々と見た道を走る。赤信号を待つ。

沈黙を破ったのは私だった。

「なんで私に執着するの」

ボソリと質問したら、彼は淡々とした声でこう答えた。

「はじめて嫌いって人に言われたから」

 

そんな理由かよと呆れた。恋愛小説のテンプレートみたいな奴だな。

好きでもないくせに、ことある毎に絡んできてうっとおしい奴だと思ったのに、反面何故かその言葉が嬉しくて私は泣きそうになった。

だから絆されて私はか細い声で「いいよ」と言って彼の手を握った。

 

どうしてこうなったか覚えてないけれど、そのシーンだけは鮮明に残っている。

 

その後どうなったかも知らない。

場面も視点も切り替わり、第三者目線で宮崎駿が嫌々制作した豚(ポルコじゃない)のカーレースを見ていた。夢の中でもそこは宮崎駿、ハラハラもさせられドキドキもさせられた。

他にもなんやかんやあった気がするけど忘れて起きた。そして現在に至る。

 

体が水分を欲していたので甘酒を飲んでいる。飲み終わったらもう一度寝る。寝れなくてもただ目を瞑ることにする。

 

冒頭、私が彼に聞いた台詞と、彼への気持ちは私の深層心理をよく表してるなぁと思った。